Simの保育園

(これまでHPやコラムで書きためたものの、ご紹介です)
〜オランダ遊び場事情 1〜

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アムステルダム市街の中心にあるニューマルクト広場のすぐ近くに、私の友人のSim(シム)という50代の男性が経営する保育園があります。 住宅や店がつまった「ロ」の字の形をした4階建のブロックの1階にあり、近隣でシェアする中庭もあります。

外からはあまり目立たないのですが、中に入るとビックリ! まるでトム・ソーヤやピーターパンの隠れ家のような、自由と冒険の響きに満ち溢れた、ものすご〜いオーラを発した空間が広がっているのです。。。

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まずびっくりするのが、四角い室内に張り巡らされた、迷路のようなトンネル空間。本人が何年もかけて作ったそうですが、とにかくすごい。
靴箱がそのまま階段に続いていて、あがって行くと、トンネルのような細い穴を抜け、天井部屋にたどり着きます。途中に滑り台や、ぶらさがりロープ、落とし穴などがあったりします。 生後3ヶ月の赤ちゃんから、4歳の子どもまでが、この迷路の中でキャーキャーいいながら、鬼ごっこをしたり、秘密基地を作ったり、すべる順番で喧嘩したり、落っこちて泣叫んだり、隠れていじけていたり...! もう、とんでもない興奮を繰り広げています。
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そしてまた驚くのが、天井から裸のまま吊るされたガスストーブ。みんなすぐ届いてしまう高さにあって、触るともちろん熱いです。やけどもします。いつもこのストーブの「底」を見上げながら過ごしています。本当に落っこちてこない? 大丈夫..? と、行くたびに私はハラハラしていました。
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壁には、とんでもない数のがらくたが張り付けられています。大工道具や合板が、そのまま放置されています。壊れた自転車のペダルを、男の子がすごい勢いでぐるぐる回していて、いつ車輪が飛んで来ないか、ハラハラしてしまいます。五寸クギやノコギリも、赤ちゃんだって手をのばせばすぐ届くところにあります。
保育園なのに昼寝用のベッドはなくて、みんな眠くなったら、穴や階段や、好きなところで寝るのだそうです。唯一、床に転がっているベッドマットは、みんながピアノの上からジャンプするので、穴だらけでボロボロ。 一応ランチを用意するキッチンもありますが、食器は子どものおままごとセットとごっちゃに使われて、砂が入っていたり、ベタベタしていたり。ここで、シムがサンドイッチを作ってくれます。みんな、お腹がとても強いんですね。
お茶を入れるとき、「これ本当に使ってもいいの?」と聞いたら、シムは「....なんで?」と答えていました。
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ある日驚いたのは、真夏の昼間、男の子が革のジャケットを裸の上にそのまま着ていました。どうしてもそれが着たかったらしく、とても誇らしげ。でも、だんだん暑くなってきたみたいで、シムにごにょごにょ相談をしてから、その子は庭に出て、そのまま服の上からホースで水浴びをし始めました。どうやら、自分でちゃんと乾かすのなら、そのまま水浴びしてもいいよ、と約束をしたようです。でも、びしょぬれになった革はとっても重くてしぼりにくくて、その子は、1時間くらい、泣きながらやっていました。
とにかく「何をしてもいい」のがこの保育園、自由は大人が汚してはいけないことだそうです。でもその代わり、自分で決めたことは、最後まで自分で責任をとる、そういうことを、シムはいっぱい教えたいみたいでした。 アムステルダムは自由を大切にする街ですが、ここは特に、すごいです。行くたびに、自分は何てカタブツなんだ..と常識と脳みそがグニョグニョにされます。 アムスに行くことがあれば、是非是非、訪ねてほしい場所です。
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